そっぽを向くウルガの前まで来ると、ゼオスはにんまりと笑みを深め、品の無い声を掛けてきた。
「………残念だったなウルガ…?…………………本の一昔前はトップの座にいたお前が抜かされて………俺なんかが抜擢されてよ………心苦しいぜ……」
ククク…、と嘲笑を漏らし、周りにわざと聞こえる様に言うゼオス。
………ウルガは無表情のままだった。
笑みを浮かべるゼオスはウルガの耳元に顔を近付け………………ドスのきいた低い声で、囁いた。
「………………そんなに認められたいのかよ……一匹狼が今更仲間に入れるとでも思ったのか?………てめぇは一生、見回り兵をやってろ………………てめぇはもう長じゃねぇんだ………………今の長は、俺だ…」
「……ゼオス……私語は慎め!」
ウルガをとことん挑発する、質の悪いゼオスに大臣は叱咤した。
ゼオスは、はいはいと言わんばかりに両手をヒラヒラと振って、静かにウルガから離れた。
微動だにしないウルガをちらりと一瞥し、ゼオスは背を向けた。
…一触即発しそうな二人の空気にはらはらしながら、大臣は強引に話を戻そうと口を開いた。
―――その、直前。
「―――…ならば」
ご機嫌な様子で歩くゼオスの背に………物静かな、しかし威圧感のあるウルガの声が、絡み付いた。
しかめっ面で振り返るゼオスを、ウルガは………………憎悪に似た、どす黒い感情を秘めた瞳で、睨み付けた。


