「………君は、我が国の軍の中で、武術、策略、政においても、群を抜く稀に無い戦士だ。……人望も厚い、まさに絵に描いた様な………人の上に立つために生まれた、戦士だ。………………………………だが……」
一歩、詰め寄って来た大臣と……ウルガはまっすぐな視線を重ねた。
重ねられた大臣のやつれた眼光は、酷く疲れ切っていた。
「………………それも全て…………………………君の言う背負う罪の前で……無駄になった。………分かるか、ウルガ」
「………」
無言のままのウルガ。だが、その目は……恐ろしく鋭かった。狼の様な瞳は、静かな炎をちらつかせていた。
「………………それ程、君の罪は重いのだよ。………しかし君は充分に反省していない様だな。………………私を見るその目が、何よりの証拠だ………………………………もう何も言うな、ウルガ。言うだけ君は………落ちて行く……」
……口を真一文字に閉ざして沈黙を守るウルガの逞しい肩を、大臣は軽く叩き、何事もなかったかの様に席についた。
………ウルガの重苦しい視線を感じながら、大臣は話を続けた。
「………誰が行くかは、こちらで決めさせてもらう。………班の長は、ゼオスに任せる」
………ゼオス…。
その名が言われた途端、部屋の奥に佇んでいたゼオスが、何とも意地の悪い笑みをウルガに向けてきた。
………勝ち誇った様なその笑みに、ウルガは顔をしかめた。
見たくもないと言わんばかりに目を逸らそうとしたが………あろう事か、ゼオス本人がズカズカとウルガに歩み寄って来た。


