亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

……大臣は小さく舌打ちをし、低い声音で呟いた。













「―――………動いているやもしれん。………緑の大国がな」













「……フェンネル…!?」

「何だと…!?」

座って聞いていた他の大臣等は、思わず腰を上げた。
驚愕と怒りに震える拳を勢いよくテーブルに叩き付ける。

「あの、フェンネルが………友好的な関係を望むなどとぬかしおった奴等が………!」

「……それは本当か?」


数人の困惑気味の視線を受けながら、軍部大臣は肩を竦めた。


「………はっきりとは、まだ分かっていない。………ただ……我等と同じく、王族の事を嗅ぎ回っている人間がいるらしい。………現地の者とは違う容姿をしていたという事だからな……可能性は低いが、ゼロでは無い……」


考えてみれば、それは有り得ない事ではない。

デイファレトに入ろうと思えば、連中はいつだって国境を越えて足を踏み入れられるのだ。
戦争を防ぎ、他国との国交をすることで平和的に世を治めようとしているフェンネル。
彼等が下手に出て挨拶をしてきたのは、その目的故の、ただの礼儀に過ぎない。



平和主義者であると主張しながら、実際、裏では何でも出来るのだ。

………このバリアン大国と直々に国交をしたのだ。
裏で独自に動くならば、相当慎重に動かねばならないだろう。
パッと見てすぐに分かる様な大胆な動きは避けている筈だ。





「本当に動いているのだとすれば…………大した役者だな…」