亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

疲労混じりでポツポツと語られる言葉に、軍部大臣は鼻で笑った。

「―――例の、化け物の仕業だろう。……約五十年が経った今でも……あれは健在…か。……ふん………一体幾つまで生きる気なのだ……」






………化け物……?



部屋の隅で壁に寄り掛かったまま、大臣らの話を黙って聞いていたウルガ。


……デイファレトの城に………化け物が?……それは初耳だ。

……約五十年前の最後の戦争で、あの城は無人の廃墟と化したのではなかったのか……?

……化け物とは一体……どんな…。






「………この事態に関して……陛下は何と?」

「……………何も……何もだ。………お答えなさってくれない……」

「………化け物の話は……陛下には、禁句だな」


ふうっ…とまた一つ溜め息を吐き、大臣は空いている椅子に腰掛けた。

「………城内潜伏の話はもういい。後回しだ。兵士等には、城外で潜伏する様指示し、こまめに状況を伝達させろ」


はっ、と命令を下された兵士は返事をすると共に退室していった。

軍部大臣は難しい顔を浮かべたまま。
テーブルを忙しなく叩く指先は、一定のリズムを刻むばかりだ。


一度低く唸ったかと思うと、大臣はポツリと重い口を開いた。



「…………さて………もう一つ……厄介な問題に視点を置こうか……」

何とも意味深な台詞を吐く彼に、室内にいる者全ての視線が注がれた。

緊急会議で議論される内容は他にもあるとは聞いていたが、詳しくは聞かされていなかった。






「………………王族捜索がうまくいっていない事、城内潜伏が不可能な事。………それに加え、だ……」