広い軍議室には、既に数人の大臣や兵士らが集っていた。
ピリピリとした空気は何処も同じであるらしく、室内に入ってもこの居心地の悪さは大して変わらなかった。
大臣らの行列が入り切った所で、ウルガは扉を閉めた。
そして室内に顔を向けると………とある兵士の一人と、視線が重なった。
………部屋の奥の方で、腕を組んで佇んでいる男。
大柄なウルガよりも更に長身で黒く日焼けした、小高い岩山の様な男だ。…ウルガを見てくるその形相は悪鬼そのもので、ぎょろついた瞳は獣の様に爛々と光っていた。
………『バリアン国家赤の武人(ぶじん)』、第1戦士に属する………ゼオス=ガナレア。
……バリアンでは一位、二位を争う程の腕の立つ戦士なのだが………悪そうな見た目通り、良心の欠片も無い極悪非道な奴だ。
そのゼオスが……ニヤニヤと嘲笑を浮かべながらこちらを見てくる。
………ウルガは無言で顔を背けた。
「………軍部大臣、例の計画だが………思う様に行かない事ばかりが、立て続けに起こっている様だ………何とも釈然としない報せが、昼間から届いているぞ…」
軍部大臣を待っていた他の大臣の一人が、溜め息混じりに言った。
「知っている。………第1班からの報せであろう?………城への潜入は無理だった………そんなところだろう?」
「……その通りだ、大臣。………城への潜入は失敗。何者かによる、もしくは仕掛けられていた不可解な魔術によって、侵入を拒まれたらしい………」


