亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



雨の如く降ってきた氷柱の群れは、突き刺さった地面をじわじわと凍て付かせていった。

初めから凍っていた大地が、また更に厚い凍りを張っていく。

その惨状を見詰める純白の城も、至る部分から氷が生きているかの様に生えていき、その形状を変えていった。


―――パキパキッ…という甲高い音と共に、城を中心に埋め尽くしていく氷が、バリアン兵士らに迫っていた。

………氷に、呑まれる。




負傷した兵士は、背後から津波の様に迫って来る氷から逃れるべく、痛さに耐えて立ち上がろうとしたが………………瞬間、両足首が凍り付いた。

「………っ………た、助けてくれ…!………頼む!!」

側にいた仲間の兵士に手を伸ばすが、その願いは迫り来る氷の波によってかき消された。
我先に、と仲間を放って動ける兵士達は城門へ駆ける。

…仲間の悲痛な叫びが、逆に背中を押した。















滑り込む様に、いち早く城門の外に逃れたドールとハイネ。
息を切らして恐怖に震えるハイネを尻目に、ドールは豹変していく城を凝視した。




………城一帯が、巨大な氷の山と化していく。
……まるで……氷山そのもの。

この強力な術の範囲は城門の内側までらしく、ドールらがいる城門の外は何ら影響は無かった。




開け放たれた門の向こうから、氷の波から逃れてきたバリアン兵士らが走って来た。


………二人程足りない。





間一髪という所で、彼等は城門の外に身を投げ出した。
全員が雪路に転がり込んだ直後、城門内は氷の塊と化した。

空気も、風も何も入り込めない密封された空間………さっきまであの中にいたとは思えない。