亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~




「……何なのよ……あれは…!」

走り続けながら、ドールもまた、上空にぼんやりと浮かぶ青白い魔方陣を見上げて叫んだ。





魔方陣なんて、今まで腐る程見てきた。
魔の者が多いバリアンでは、日に一回は目にする複雑な芸術…。






だが………あんな巨大なものは見た事がない。



発せられる光は太陽の様に眩しく、悍ましい輝きを宿していた。


この城一帯を覆い尽くす程のそれは………魔力の大きさそのものを表している。




………この魔方陣を発動させている術者は、非常識な……化け物染みた強さだ。

……人か?それとも…。






(…………本当に…化け物かもね…)



















……ゆっくりと回転する空の魔方陣の中に、細かな文字がつらつらと描かれていく。

…直後、その美しい陣から……………きらきらと光り輝く何かが……舞い降りてきた。





………雪…?


………雨……?













………………氷…。




















「―――!?」


バリアン兵士は咄嗟に剣を構え、物凄い速さで雨の様に降り懸かってきたそれを一刀両断した。


バリアンの紋章が刻まれた鋭利な剣が裂いたのは………一メートル大の氷柱。

恐ろしく尖ったそれは、上空の魔方陣からあても無く次々に降ってきた。
柱に、地面に、凍て付いた木々に……冷たい刃は容赦無く突き刺さる。




「ちっ…!」

数十本もの氷柱の群れが、走るドールとハイネの頭上に飛来してきた。



ドールは無言でハイネを後ろに押しやり、抱えていたハンマーを頭上に向かって振り上げた。