亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

身の危険を察知した身体は、脳からの命令が下される前に、反射的に両耳を両手で塞いだ。


だが、歌声は容赦無く聴覚を侵していく。



激しい頭痛と共に、嘔吐したがる胃袋の震えが連続して襲ってくる。
目眩による奇妙な浮遊感が平衡感覚を麻痺させ、皆一斉にその場で膝を突いた。


冷たい地面に額を叩き付け、爪が食い込む程手を握り締め、歯を食いしばるが………それはただただ耐えているだけで、何も改善はされない。


すぐ後ろでバリアン兵士の一人が苦しげに身悶え、嘔吐していた。
兵士の命とも言える剣をほっぽり出し、今は苦しむ事に夢中だ。






(……っ…………無様…ね……!)





































「―――綺麗ですね…綺麗ですね………エコーのお嬢さん方………………貴女方の歌はいつ聞いても素晴らしい………お客様も大満足……」

広大な、凍て付いた謁見の間の中央で、緑の長過ぎる髪を引き摺りながら、楽しそうにクルクルと回り続ける。


今やこの氷の城はオーケストラそのもの。

透明な氷が歌声を反射させ、天を目指して高く、地の底目指して低く、美しい調べを奏でている。


オルゴールの城。

歌う城。







私の大好きな、大好きな。








大好きな。






あの。






















「……お茶もお菓子も出せないけれど………………歓迎…歓迎………歓迎します…………………そして、すぐに………………………お帰り下さい…………ハハハハ……」