「……有り難う御座います」
二人の王子は深く頭を下げ、言いたい事を言ったら言ったで早々に謁見の間から出て行った。
……なんだか形容しがたい虚しさと寂しさが込み上げてきたが、それは子離れ出来ていない親バカ故だろう。
………あの二人はとっくの昔に…リイザに関してはあの歳で…………もう親離れしているというのに。
………時々、そんな血の繋がった息子達が、やけに恐ろしく感じる。
……同じ血が通った、他人ではない密接な関係だからこそ………見えるものも見えないし、離れようにも離れられないし………逃げられない。
―――自我を持つ、己の分身。
「―――……ケインツェル、アイラ達に…魔の者も同伴で、と伝えておけ………念のためじゃ…」
「……御意に。……………おや、監視のサラマンダーが戻って来ていますね……」
…風に靡いている国旗の向こうから覗く、幾つも並んだ吹き抜け。
……その向こうの雲一つ無い青空に、見慣れた赤い鳥が一瞬過ぎって行った。
………玉座の肘掛けを掴む老王の手に、力が籠った。
血管の浮き出た赤褐色の肌が、本の少しだけ刻まれた皺を伸ばす。
「…………来たのか…」
老王は額の汗を拭おうともせず、ただじっとしていた。
ケインツェルは謁見の間に通じる廊下の奥に目をやる。
………心なしか、奥の方が騒々しい気がする。
「………その様ですね」
ケインツェルは玉座の階段を降りた所で、佇んだ。……深い笑みを浮かべて。
「―――……バリアンとフェンネル……………赤と緑、ですかねぇ………フフフッ…!」
二人の王子は深く頭を下げ、言いたい事を言ったら言ったで早々に謁見の間から出て行った。
……なんだか形容しがたい虚しさと寂しさが込み上げてきたが、それは子離れ出来ていない親バカ故だろう。
………あの二人はとっくの昔に…リイザに関してはあの歳で…………もう親離れしているというのに。
………時々、そんな血の繋がった息子達が、やけに恐ろしく感じる。
……同じ血が通った、他人ではない密接な関係だからこそ………見えるものも見えないし、離れようにも離れられないし………逃げられない。
―――自我を持つ、己の分身。
「―――……ケインツェル、アイラ達に…魔の者も同伴で、と伝えておけ………念のためじゃ…」
「……御意に。……………おや、監視のサラマンダーが戻って来ていますね……」
…風に靡いている国旗の向こうから覗く、幾つも並んだ吹き抜け。
……その向こうの雲一つ無い青空に、見慣れた赤い鳥が一瞬過ぎって行った。
………玉座の肘掛けを掴む老王の手に、力が籠った。
血管の浮き出た赤褐色の肌が、本の少しだけ刻まれた皺を伸ばす。
「…………来たのか…」
老王は額の汗を拭おうともせず、ただじっとしていた。
ケインツェルは謁見の間に通じる廊下の奥に目をやる。
………心なしか、奥の方が騒々しい気がする。
「………その様ですね」
ケインツェルは玉座の階段を降りた所で、佇んだ。……深い笑みを浮かべて。
「―――……バリアンとフェンネル……………赤と緑、ですかねぇ………フフフッ…!」


