亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~




「………」
















城へ続く道の真ん中辺りまで進んで来ていた時だった。








再び、ドールは足を止めた。



何か聞こえたから。
何か気配がしたから。






………そんな曖昧なものではない。
















―――見られている。




それもあちこちから。

………何十もの瞳から。













この突き刺さる視線の数々に、さすがのバリアン兵も気付いたらしい。

マントを翻し、次々に腰の剣を抜き出した。







………ザバッ、と……道を囲む池から水音が聞こえてくる。
幾つも。幾つも。

色んな所から。
















クスクス。



クスクス。























氷が張った池の中から、少女の笑い声が聞こえてくる。

水の中を、何か半透明の様なものが漂っている。





………まるで…人魚の様な…。


















「………………エコーだ……」





不意に、ハイネが呟いた。青ざめた顔でキョロキョロと辺りを見回す。

「………『エコー』…?………ハイネ、それは何なの…」

パキッ…と、池の一部にヒビが入ったのが見えた。

ハイネは震える声で答えた。

「………魔獣………水に住む魔獣です…。バリアンにはいない奴等で……普段は大人しくて、危害を加えないんですが……………………………………………………洒落にならない…悪戯を仕掛けてくるって……聞いたことが……」

「………………例えば……?」

「……………歌で誘い込んで…溺死させるとか…」





なるほど、洒落にならない。