靴も何も履いていない素足で、凍て付いて階段をゆっくりと降りて行く。
長過ぎる髪が動きに呼応して、ズルズルと床を這った。
長く垂れた前髪を指先で掻き分け、緑の目を細める。
「―――………エコーのお嬢さん方、歓迎の準備を。………細やかな歓迎会をしようか…」
少女達…エコーという水の魔物に、楽しげに言った。
エコー達は嬉しそうに笑い合い、すぐさままた奥底へ潜って行った。
エコーの可愛らしい声が聞こえなくなった無音の室内で、もう一度背伸びをし、天井を見上げた。
ぶら下がる長い氷柱の先をぼんやりと見詰めながら、何気なく、その尖った氷の切っ先に舌を這わせた。
冷たい滴が、口の中に広がっていく。
そんなもので喉の渇きは癒せないが………癒す必要も無いからそんなことどうでもいい。
「――…お客様、歓迎。………………歓迎。………………でも残念…」
フフフ、と首を傾げて笑いながら、自分の長い髪をいじくる。
「………お客様、お客様………残念ですが………紅茶とお菓子は出せません………代わりと言っては何ですが………」
………スッと、その細い腕を片方だけ上げた。
露出した肌には、真っ黒な刺青が所狭しと並んでいた。
「………………………………歌でも………歓迎の歌でもお聞き下さい。………………お気に召せば良いのですが………ね…………」
―――…アハハハ。


