クスクス、クスクスと少女達の笑みが響き渡る。
『主様主様、主様起きて』
『お客様、お客様。』
『人間。人間、訪れた』
『いらっしゃい。いらっしゃいませ。主様、起きて』
「――――――お客様?」
甲高い声が蔓延していた広大な室内に………突如、透き通るアルト声が木霊した。
水面上から少女達が見詰める玉座の後ろから、ゆらりと………ゆっくり立ち上がる人影。
少女達の瞳に飛び込んで来たのは………鮮やかなエメラルド。
絹の如き光沢を放つ、エメラルドグリーンの髪。
長い、長い………長過ぎる髪。
その髪はよく見れば、玉座から絨毯の様に床に垂れ、階下をも越えて冷たい床にまで広がっている。
………5、6メートルはある緑の髪だ。
非常識な髪を無造作に垂れ流す人物は、ゆっくりと………少女達の方に振り返った。
……細かな美しい模様が入った、緑の瞳。
それは笑い合う少女達を捉えると、優しく微笑んだ。
……長身、痩身の、男とも女とも判別のつかない中性的な美しい顔。
奇妙に露出した風変わりな服から覗く真っ白な肌は、妙に艶がある。身体付きは女性の様にほっそりとしているが、女体特有の胸の膨らみは皆無だ。
不可思議な人物は玉座の後ろでうんと背伸びをし、少女達ににっこりと微笑んだ。
「―――お客様…お客様……ああ………お客様か……じゃあ歓迎しなければならないね……」
綺麗なアルト声で呟き、小さな欠伸をした。


