ザバッ…と水音を立てて、水中から冷たい空気に塗れた陸に顔を出した彼等は辺りをキョロキョロと見回した。
彼等が水面上に顔を覗かせている場所は、噴水の様な所。
大理石で造られた床や柱に囲まれた、殺風景な場所。
一見、何も無い様な寂しい空間だが、そんな中でも一際目立つものがある。
絵が描かれた豪華な天井は凍て付いていて、長過ぎる氷柱が何本も伸びている。
床も凍り付いており、テカテカと滑らかな光を放っている。
その向こうに、奥に………。
小高い、階段。
大して高くもなく、低くもない………階段。
その階上には。
―――…コバルトブルーの、美しい椅子。
椅子。
選ばれた者しか座れぬ、触れる事も許されぬ………神々しい椅子。
―――玉座だ。
この国の頂点に立つ偉大な者の、神から定められた居場所だ。
………だが、そこには誰も腰掛けてはいない。
もう何十年も主人のいない、寂しい…寂しい玉座。
その高い背も垂れは、足は、豪華な装飾は………何のためにあるのか。
誰のためにあるのか。
いつまでも、冷たい玉座。
その無人の玉座を見詰めながら、少女の姿をした半透明の異形の者達は、クスクスと笑いながら可愛らしい声で言った。
『―――主様、主様』
『――主様、起きて起きて、主様』


