―――クスッ。
―――クスクス。
――…クスッ。
―――…あれは何?
あれは何?
人間?
人間?
人間だ人間だ。
お客様だ。
お客様だ。
人間のお客様だ。
クスクス。
クスクス。
いらっしゃい。
いらっしゃい。
歓迎。
歓迎。
久し振りのお客様。
お客様。
とっても久し振り。
主様にお伝えしなければ。
主様。
主様。
お客様。
お客様。
主様。
主様…―――
四方八方に動くくりくりとした、綺麗な白い瞳。
何十もの目玉は、凍て付いた池の中から久方振りの来訪者を興味深げに見詰めていた。
彼等人間が城へ近付いて行くのを見送り、クスクスと笑いながら池の奥底へと潜った。
長い尾ビレを優雅に動かし、冷たい水を掻き分け、仄暗い奥へと泳いで行く。
途中で他の池から潜って来た仲間らと合流し、更なる奥へと続くトンネルを進んで行く。
………何処からか差し込む淡い光が、半透明な彼等の身体を照らした。
長い髪も、手も、魚の様な下半身も、全て半透明。
泳ぐ姿は、水に溶け込んでいる様にも見える。
長い水中トンネルの向こうに、ポッカリと開いた丸い口が見えた。
光が差し込むその口に、彼等は上半身を突っ込んだ。


