城門の向こうは、広大な城へと続く広く長い一本道だった。
綺麗に整えられた上品な純白の道は大昔の建築洋式をそのまま残しており、おとぎ話の様な優雅な雰囲気を醸し出していたが………いつぞやの戦火による亀裂や焦げ跡が、妙に痛々しかった。
道の両端はアーチ状の柱が立っており、きらびやかなステンドグラスが一面にあったのだろうが、今はそのほとんどが割れてしまっていた。
一歩歩く度に、虹色の硝子の破片を踏みつぶした。
………道を囲むのは、氷が張った幾つもの小さな池。丸く縁取られた可愛らしい池は、昔は魚が住み、蓮なんかが浮いていたのではないだろうか。
かつて、栄華を極めたデイファレト。
その頂点に立つ城は………今は廃墟。
中身など何も無い、栄華というものの形だけを残した城。
………孤城。
無だけが生き続ける、亡國の孤城。
………物悲しい景色しか映らない瞳を何度も瞼で覆い、ドールは無言で道を歩く。
「………………このまま進めば、城に辿り着いてしまうが……どうする気だ?」
背後を歩くバリアン兵に向かってドールは言った。
来るであろう王族の待ち伏せをするために潜伏…とはいうものの………何処に潜めばいいのか。
「………………城壁内、可能なら城内に潜み、待ち伏せをするのが望ましい。………確実に仕留めるためにも…」
「………ただ単に暖をとりたいだけではなくて?……ふっ…冗談よ…」
鼻で笑い、ドールは遥か前方にある城に目を移した。
(―――………城には入れるのかしら…?簡単に開けば…)
――クスッ。


