亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

デイファレト全土に散らばって捜索をする兵士達とは別に、それらを率いるリーダー格の人間と、嫌々ながら手を組んでいるドール達は、王族らの最終目的地である城で潜伏…という作戦に出た。


……兵士らも共に同行しているのは、ドールらの監視も意味している。

…お互い、同じ目的で手を組んでいるといっても、中を開ければ国家側と反国家組織。

根から白と黒の様に相反する者同士、警戒は解かない。常に殺気を交えて互いの顔を見合っている。



ドール達反国家組織は、この王族捜索計画において何かあった時のため、ドールは本の僅かな数の部下しか引き連れていない。

長であるドールと今共にいる配下の男だけが城へ、他は数百の兵士らと同じく散らばっての捜索…。


二つに分かれている長と配下のグループ双方は、何かあればすぐに連絡を取り合う様にしていた。

何かあれば。…そう、例えば…。







………………バリアン兵士の裏切り行為、だとか。






あの気持ちの悪い男…ケインツェルは、「協力して頂く貴女方に刃を向ける筈が無いでしょう!」と高らかに笑いながら言っていたが……信用出来るか。
むしろ奴の口から出た言葉だからこそ信用ならない…。



「………………億劫だわ。やっぱり、極寒より灼熱地獄の方が好きだわ。………そういう事だからハイネ、あんた先に行って」

側でげんなりとしながら城門を見上げていた配下の男……ハイネに、ドールはぶっきらぼうに言った。


「…………………………長、それは命令なんですか?」

「………馬鹿ね…長の口から出る言葉で命令以外何があるっていうのよ」

「………」