「………死体も何も見つからなかった。………だが、簡単に死ぬ様な男ではないからな。…一応墓石はあるが、奴の名は刻んでいない」
笑いながら話続けていたローアンは、何も無い雪路から突如、脇の深い森に入った。
凍て付いた樹木の群れの間に身体を滑り込ませ、ゆっくりと先へ進む。
……そのまま数秒の沈黙が流れていた矢先、不意にローアンは口を開いた。
「―――右は私がやろう」
「……いえ、右も背後も私が受け持ちます」
「………そうか…?………では……任せようか」
御手並み拝見…と、ローアンは直後、ピタリと足を止めた。
「―――出て来たらどうだ」
小さく呟き、くるりと振り返った途端。
―――…白と黒のコントラストの世界が、急に慌ただしく歪んだ。
交差し合う枝の茂みから二人。
厚い積雪の下から三人。
ローアンの右手と後ろ手から、人の形をした殺気の固まりが飛び出してきた。
はためくマントの下からは、雪に反射して怪しく輝く刃の厚い剣。
その柄を握る鍛えられた筋肉質な腕は、勢いを止める気配は無い。
……右手の樹木の影から飛び出して来た男が、他の者よりも一足速くローアンに詰め寄って来た。
一秒にも満たない僅かな時間と共に距離を詰めた男。
その男とローアンの視線が一瞬重なり…。
……ニヤリ、とローアンは意味深な笑みを浮かべた。
笑いながら話続けていたローアンは、何も無い雪路から突如、脇の深い森に入った。
凍て付いた樹木の群れの間に身体を滑り込ませ、ゆっくりと先へ進む。
……そのまま数秒の沈黙が流れていた矢先、不意にローアンは口を開いた。
「―――右は私がやろう」
「……いえ、右も背後も私が受け持ちます」
「………そうか…?………では……任せようか」
御手並み拝見…と、ローアンは直後、ピタリと足を止めた。
「―――出て来たらどうだ」
小さく呟き、くるりと振り返った途端。
―――…白と黒のコントラストの世界が、急に慌ただしく歪んだ。
交差し合う枝の茂みから二人。
厚い積雪の下から三人。
ローアンの右手と後ろ手から、人の形をした殺気の固まりが飛び出してきた。
はためくマントの下からは、雪に反射して怪しく輝く刃の厚い剣。
その柄を握る鍛えられた筋肉質な腕は、勢いを止める気配は無い。
……右手の樹木の影から飛び出して来た男が、他の者よりも一足速くローアンに詰め寄って来た。
一秒にも満たない僅かな時間と共に距離を詰めた男。
その男とローアンの視線が一瞬重なり…。
……ニヤリ、とローアンは意味深な笑みを浮かべた。


