亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

「………………狩人っていうのは、そんな仕事も引き受けるのかい…?」

……深い溜め息を交えながら、ユノは言った。

「…………………………昔は……そうではなかった………とでも、言っておこう…」

ザイは本の少し悲しげな笑みを浮かべたが、すぐに話を戻した。

「………今のところ、その依頼を他に受けた狩人がいるかどうか…分かっていない。何しろ……裏での依頼だ。………依頼主の側も、かなり用心深い…」


























『………警告、だと?』

『そうさ。…警告だ。………しかもかなり危険を伴う、ヤバイ話だ』



―――あの夜、仲間の男はそう言った。









『………………コム爺さんの細かい情報網で……妙な仕事を見つけたそうだ』

『………妙な仕事…?』



……“情報屋コム”の張り巡らされた情報網は、表から裏まで、流れていく情報の一欠片も……残さず捕らえてしまう。
…伊達に老いていない。

そのコム爺からの警告だ。聞かぬわけにはいかない。





『………………数十年前…崩壊したデイファレト王政』

……並べられた言葉の数々に、ピクリとザイは反応した。


『………………最後の戦乱で難を逃れた、未だ行方知らずの王族……………………その捜索と………暗殺だ』

『………』





『今になって…どうしてこんな依頼が飛び込んで来たのかは知らねぇ。………ただ、雪に埋もれて気ままに生きてる俺らのすぐ隣りで………馬鹿でかいどっかの陰謀が動いていることは確かだ…………………何処から漏れたのか知らねぇが、狙われている王族が母子の親子ってのも、分かっているらしい………』