―――腰から短剣を抜き出し、刃ではなく柄の部分を先にして………。
………宙を漂う少女のか細い手首を、思い切り叩き潰した。
「―――う゛っ……あああああああ…!!」
………手首の関節が粉砕する、生々しい音。
強烈な痛み。
目を見開いて絶叫する少女。
その悲痛な叫びを耳にしながら、レトは何の躊躇いも無く、もう一方の手首の関節も、黙々と柄で叩き潰した。
……………ユノは、ただただ……唖然とした半開きの口をそのままで………目の前で起こるこの妙な惨状を、見下ろしていた。
痛みに震え、馬鹿みたいに叫ぶ少女。
いつもの様に無表情で、ぼんやりとした目で………………痛みを加えていく、レト。
「…………レト………何を、しているんだい…?………その娘、もう……動けないじゃないか……」
…ユノは、自分の声が微かに震えている事に気付いた。
レトはゆっくりとユノを見上げ、のんびりと首を傾げた。
「………………両手を使えない…様に…。……………急に、襲ってくるかもしれないから………」
言い終わるや否や、レトの剣の柄は少女の両肘を素早く潰した。
―――ゴキンッ…と、妙に響く、骨が折れる生々しい音が聞こえ、ユノはビクリと身を震わせた。
………波打つ鼓動。
奇妙な緊張感を醸し出すこの場から、ユノは今すぐにでも逃げ出したかった。
……何だか、妙に落ち着かない。


