「………塔へ向かうこの旅の事………君ら親子と僕ら以外で…他に、誰が知っているの……?」
「………はぁ…っ………貴族なら……はぁ………皆知っているよ……僕とお母様を、昔から、匿ってくれて…いたのも、貴族……だからね………はぁ………………………何だい?………その中に内通者でもいるんじゃないかとか………疑って、いるの?」
「………」
ずばり、レトの考えを言い当てたユノ。
………その通り。情報が漏洩するのは大抵、内通者による密告という裏切り行為が殆どだ。
ユノにとっては辛い事この上ない…しかし単なる推測に過ぎないが。
………しかしレトの意に反し、内部の裏切りという仮説に対してユノは平然としていた。彼は苦笑を浮かべ、「それは有り得ない」と言い切った。
「………はぁ…彼ら…貴族の、望みは………王座につく僕……からの、栄華の欠片………だからだよ。…………………僕が死んだら………大損じゃ、ないか……」
「………」
雲の上の人間が考える事は、そんなものなのか。
……ひたすら歩いていると、二人の足元は小高い丘の斜面から平らな地面へとなっていった。
息を切らしながら丘を上りきった二人の、すぐ目の前には……。
………天高くそびえ立つ、氷を纏う老いた塔。
円柱の外壁は、規則正しく並んだ固い鉱石に覆われており、黒ずんだ表面の上には更に半透明の厚い氷を纏っていた。
威風堂々と立つ……と言うよりも、長い眠りについている様な、厳かながらも静かな空気を醸し出している。


