頬を撫で、荒々しく髪を梳かしていく風はこんなにも冷たいのに………速さを増す鼓動を秘めた胸は、焼け焦げそうな程に、熱い。
蓄積していく熱を少しでも減らそうと、身体は懸命に呼吸を強いていた。
「………はぁっ……はあっ………っ………はっ……」
歩き辛い雪路に足を突っ込んでひたすら丘を上り続けるレトとユノの二人。
レトがユノの手を引き、先頭を歩いていた。
…息も絶え絶えな、苦しげな表情を浮かべるユノを何度も心配そうに見やりながら、レトは声を掛ける。
「…………大丈夫…?」
少し歩調を緩めようとしたが、それをユノは拒んだ。
………塔は、目の前なのだ。それに妙な男が本の少し離れた場所でザイと対峙している。………休んでいる暇など、無い。
「………はぁ………あの、男………何…なんだい…?………はぁ……」
レトは前を向いたままその問いにポツリポツリと答える。
「………………分からない……だけど………」
………あの男は紛れも無く……狩人、だった。
質の悪いその辺の賊より、遥かに厄介な存在。
………金品目的ではないだろう。
…あの男は明らかに最初から………ユノを……狙って…。
………ユノが王族であることを知っての行為…?………だとすれば………。
(………この旅の情報が………漏洩している…?)
…それだけではない。
しかもそれを知った何者かが、ユノ達親子の暗殺を狩人に依頼したに違いない。
………確証は無いけれど…。


