―――…息を吐く間も無く、男は二本目の剣を抜き出し、雪路を踏んでいるとは思えない様な俊敏な動きで迫って来た。
「……離れて…!」
ユノを背後に押しやり、レトは腰から剣を抜いた。
詰め寄って来た男の視線は、ユノから前を遮るレトへ。
片手から両手に握り直し、男は一回りも二回りも小さいレトに向かって剣先を向けた。
研ぎ澄まされた刃を、レトは剣で受けようとした。
………が、その時。
剣を振り下ろそうとした男が、突如大きく後ろにのけ反った。
男が構えた剣の柄には……突き刺さった、氷で出来た長く鋭い矢。
それを見たレトは、背後の洞穴に素早く振り返った。
「―――父さん…!」
見間違える筈が無い。突き刺さっている矢は紛れも無くザイの矢。
……案の定、視線の先にある洞穴の入口には、弓を構えたザイが立っていた。
その側には、震えながらユノの名を呼ぶサリッサ。
「レト!!王子を連れて塔の方に逃げろ!!」
普段寡黙なザイの口から出たとは思えない様な、緊張感に満ちた低い声。
叫ぶや否や、ザイは再び弓を構え直し、弦を大きく引いた。
男に向けた弓とその弦に、一瞬で氷の矢が現れる。
全身の力を出し切る様に、ザイは勢いよく矢を放った。
―――ギュインッ…
捻った弦と空気抵抗が生み出す心地よい矢羽音と共に、ザイの剛弓による凍て付いた矢は男目掛けて飛んだ。
細かな氷の結晶を散らしながら矢は空を切り裂き、レトとユノのすぐ頭上を過ぎり…。
………男の素早い身のこなしで避けられ、樹木の幹に突き刺さった。
「……離れて…!」
ユノを背後に押しやり、レトは腰から剣を抜いた。
詰め寄って来た男の視線は、ユノから前を遮るレトへ。
片手から両手に握り直し、男は一回りも二回りも小さいレトに向かって剣先を向けた。
研ぎ澄まされた刃を、レトは剣で受けようとした。
………が、その時。
剣を振り下ろそうとした男が、突如大きく後ろにのけ反った。
男が構えた剣の柄には……突き刺さった、氷で出来た長く鋭い矢。
それを見たレトは、背後の洞穴に素早く振り返った。
「―――父さん…!」
見間違える筈が無い。突き刺さっている矢は紛れも無くザイの矢。
……案の定、視線の先にある洞穴の入口には、弓を構えたザイが立っていた。
その側には、震えながらユノの名を呼ぶサリッサ。
「レト!!王子を連れて塔の方に逃げろ!!」
普段寡黙なザイの口から出たとは思えない様な、緊張感に満ちた低い声。
叫ぶや否や、ザイは再び弓を構え直し、弦を大きく引いた。
男に向けた弓とその弦に、一瞬で氷の矢が現れる。
全身の力を出し切る様に、ザイは勢いよく矢を放った。
―――ギュインッ…
捻った弦と空気抵抗が生み出す心地よい矢羽音と共に、ザイの剛弓による凍て付いた矢は男目掛けて飛んだ。
細かな氷の結晶を散らしながら矢は空を切り裂き、レトとユノのすぐ頭上を過ぎり…。
………男の素早い身のこなしで避けられ、樹木の幹に突き刺さった。


