「…………汚点だなんて……可哀相だよ………」
「可哀相?………あんな人を哀れんでも、仕方無いよ!…………………僕らの事は放っておいてくれ……!」
もうこの話は終わりだ、とユノが踵を返そうとした直前、悲しげな表情のレトが首を左右に振った。
「………違う…」
………いつからいたのか、それとも最初からいたのか。
二人の足元を小さなアルバスが歩いていた。いつもの可愛らしい鳴き声はどうしたのか………今は嘴を閉ざし、二人を見守るかの様にじっと見上げている。
「………違う……………………………サリッサは可哀相だけど…………」
本の少し、夜の闇を明るく照らした様な紺色の揺れる瞳が、真直ぐユノを見詰めた。
静かに、たった一言………レトは、呟いた。
「…………………そんな風にしか考えられない君も………………可哀相だ…」
―――辛うじで見えていた薄明かりの視界が突如、天地が反転したかの様に揺れた。
長い洞穴のとある一点で、けたたましい音が響き渡った。
……勢いよくはたき落とされたランプは、凍て付いた地面を転がり続け、小さな窪みにきた所でその動作を止めた。
「―――チチ」
横たわるランプを、アルバスが興味深げに突っ突いた。
「知った様な口を利くな!!」
怒気を露にした叫びが、レトだけに投げ掛けられた。
怒りに震える彼の声は洞穴内を反響し、余韻を残して奥へ去って行く。


