亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



「…………汚点だなんて……可哀相だよ………」

「可哀相?………あんな人を哀れんでも、仕方無いよ!…………………僕らの事は放っておいてくれ……!」

もうこの話は終わりだ、とユノが踵を返そうとした直前、悲しげな表情のレトが首を左右に振った。





「………違う…」





………いつからいたのか、それとも最初からいたのか。

二人の足元を小さなアルバスが歩いていた。いつもの可愛らしい鳴き声はどうしたのか………今は嘴を閉ざし、二人を見守るかの様にじっと見上げている。




「………違う……………………………サリッサは可哀相だけど…………」
















本の少し、夜の闇を明るく照らした様な紺色の揺れる瞳が、真直ぐユノを見詰めた。

静かに、たった一言………レトは、呟いた。



















「…………………そんな風にしか考えられない君も………………可哀相だ…」























―――辛うじで見えていた薄明かりの視界が突如、天地が反転したかの様に揺れた。


長い洞穴のとある一点で、けたたましい音が響き渡った。



……勢いよくはたき落とされたランプは、凍て付いた地面を転がり続け、小さな窪みにきた所でその動作を止めた。



「―――チチ」

横たわるランプを、アルバスが興味深げに突っ突いた。














「知った様な口を利くな!!」


















怒気を露にした叫びが、レトだけに投げ掛けられた。


怒りに震える彼の声は洞穴内を反響し、余韻を残して奥へ去って行く。