亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

本の少し前まで、レトとユノの会話を聞きながら苦笑していたサリッサ。

ちゃんと後ろについて来ていた筈なのに。




……この道は脇道など無い一方通行。はぐれるなど有り得ない。

………少し早く歩きすぎたか?




踵を返して、元来た道を戻ろうとした。

……が、そんなレトの手を、繋がれたユノの手が逆に引っ張る。





「……先を急ぐのだろう。…どうして戻るんだい……?」

知ってか知らずか、ユノはサリッサの事など元から頭に無い様で、キョトンとしている。



「…………だってあの人…………………君の……お母さんが……」

「………………お母様が…?」



ようやく、姿の見えない母の事に気付いたらしい。
しかしユノは眉をひそめ、捜しに行くどころか、そのまま先へ進もうとした。

グイッと強引に手を引っ張られるレト。

おろおろと戸惑いながら、レトはユノを止めようと懸命に引き戻した。



「………待って…。…………駄目、だよ………捜さないと……」

「……何を?」

「………だから………君の…お母さんを……」

「…どうして?」

「………………どうして……って………だって……」






………何を言っても、彼は先に進もうとする。

レトから顔を背けたまま、頑として話を聞いてはくれない。





………怒っている?………苛立っている?



………何故?



何故ユノは………サリッサの事を前にすると…………こんな……。



「…………だって…いないんだよ…?………………お母さん………なんだよ……?」






繋いだ手の、妙な引っ張り合いをしている最中、ランプの薄明かりで、背後から別の人影が浮かび上がった。