亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

レトとユノを先頭に、一行はぞろぞろと洞穴の口に足を踏み入れて行った。

最後尾にいるザイは、レト達が奥へ進んで行くのを後ろから眺めながら………。






自分も洞穴に入る直前、グルリと辺りを見回して周囲の様子を窺った。


……雪雲ひしめく空の下の、薄暗い銀世界。今日は珍しく、あまり風が吹かない。
妙に落ち着いた静寂そのものの空間は、自分達以外何も気配は無い様に思えた。










―――パラッ…と、頭上から、白い細かな粒が舞い降りてきた。




研ぎ澄まされた狩人の警戒心は、反射的にザイの鋭い目を頭上に導いた。









………真上に見えるのは、天に向かって垂直に伸びる、険しい岩山の肌。
そこに積もった雪が、ハラハラと落ちてきていた。





………岩山の積雪の上を、小さな野鼠が駆けて行く。




四足歩行の小さな足は、忙しなく動く度になめらかな積雪の表面を蹴りあげ、細かな雪の結晶を落としていた。










「………」













もう一度辺りを見回して、もう一度……。



再度グルリと見回し、岩山の天辺を見上げ………ザイは無言で、洞穴の闇に身を入れた。

先を歩くレト達に追いつくため、ザイは足場の悪い暗闇の中を疾走した。


















―――ザイという狩人の監視の目が無くなり、静かになった空間。




…野鼠はとっくにいなくなった中。






小さな野鼠の足跡が点々と残る積雪の上に、息を殺して潜む孤立した影が、一瞬、落ちた。