……そのまま洞穴の様子を窺いつつじっと待機していると、奥からアルバスがヨチヨチと歩いて生還して来た。
足元まで歩み寄って来たそんな雛を見下ろして、レトは一人頷いた。
「………無事に帰って来たって事は、危険は無しって事かな……」
………一応、親であるレトに、仕掛けの餌の様に使われた哀れなアルバス。
しかし純粋なアルバスはやっぱりそんな事など分かる訳も無く、遊びだとでも思ったのか……もっとしてくれと言わんばかりに甘えてきた。
レトは洞穴の安全を確認し、すぐに皆の元へ戻った。
途中、ついて来ていたアルバスが雪に足を取られて転倒し、雪だるまになっていくのが視界の隅に見えたが、あえて、放置。
「………………危険は、無いみたい。………吹き込んでくる風の強さからして…ちゃんと……向こう側に通じているよ…」
「………よし。………………確かに、何もいないんだな…?」
「………………うん……」
「………そうか」
…普段でも用心深いザイだが、やけに…しつこく確認してくる。
……首を傾げるレトを傍目に、ザイは顔を背けてポツリと……呟いた。
「………獣は、いない…か……」
「……………父さん…?」
……何処となく、気難しい…不安げな表情の父を見上げて、レトは訝しげに呼び掛けた。
………が、聞こえていなかったのか、無視されたのか………レトの声を遮る様に、目の前にランプを突き付けられた。
「………中は暗い。………それを持ってお前は先頭を歩きなさい……後ろには私がつく」
「……………うん…」


