レトは寄って来た雛の、パタパタと宙を扇ぐ黒い羽を摘み、自分の膝の上に落とした。
ボテッとマントの上に落下し、バウンドして床に転がっていく。
「………でも父さん、確かカーネリアンって肉食だよね。…………………餌、どうするの…?」
「………放っておけ。勝手に野鼠でも捕まえるだろう」
生まれたばかりの雛に狩りが出来るのだろうか…。
マントの端を咥えて、餌をくれと鳴き続ける雛を見下ろしながらレトは思った。
「せっかくだから、名前を付けようよ!」
はーい、と挙手して、ユノは笑顔で言った。
ザイは一瞬、顔をしかめた。
「………名前を付けると…愛着がわいてしまう……」
「良いじゃないか、わいたって。…と言うか、食材としてしか見てないのかい君ら」
レトはチチチ、と鳴く雛に顔を近付け、その黒い羽毛に覆われた丸っこい姿を凝視する。
「……………………………肉…」
「レト、今のは聞かなかったことにしてあげるよ。次そういう事言ったら、しばくからね」
爽やかな笑みのユノに釘を打たれ、レトは難しい顔で首を傾げた。
「…………じゃあ………………アルバス……」
「アルバス…?」
今度はユノが首を傾げる番だった。
その疑問にはザイが答えてくれた。
「………古代文字だ。狩人の世界では暗号の様に使われている。………『アルバス』は、白い、という意味だ」
「………今は黒いけど………カーネリアンって真っ白だから………………白で……」
…見た目、そのままを表した名前だが………これ以外、特に思い付かない。鳥肉だとか、焼き鳥だとかそんな単語が頭の中でズラリと並んでいる。


