勿論、案内役の人間には真直ぐ城へ誘導する様に指示はしてある。
国家レベルの重大な任務なのだから。
監視役である自分も、頭上から彼等に不審な動きが無いか目を凝らしている。
………少しでも何かしてみろ。確定的な敵と見なし、直ぐにでも八つ裂きにして戦火を撒き散らしてやる。
………デイファレトの様に。
(………しかし…不用心なことだな……)
……使者達の明らかな軽装を眺めながら、半ば呆れているウルガ。………不用心と言うよりも……舐められているのだろうか。
………敵意は無いという現れだろうか。
頭上をしばらく旋回し、少し離れようとエンに指示をしようとした。
………ふと行列に目をやると……。
使者達の一番前を歩いている人間が、歩みはそのままで上空を見上げていた。
………こちらを見て…。
遥か下の地上。
あんなに小さく見えるのに。
顔など分からないのに。
バチッと、視線が重なった気がした。
……凝視。
ヒシヒシと感じる視線。
これは気のせいなどではない。
見られているのだ。
「………………」
………言い様の無い、居心地の悪さを感じた。
ウルガはそのまま旋回し、更に上空へと上がる様に指示した。
目下の行列が、また小さくなっていった。


