本来なら『城』と書かれた部分は、真っ黒なインクで目茶苦茶に塗りつぶされ、全く違う名称が代わりに書かれていた。
「聖地でも、何でもない。間違っても近寄ってはならない。………訪れた者は、必ず神の怒りを買う………誰一人、戻っては来れない……狩人の世界では有名な話。………人はその場所を………」
書きなぐられた名称を、リストは指先でトントンと突いた
まるで震えた手で書いた様なその黒い文字は、世間から注がれる恐怖をありありと表現している様に見えた。
「―――………『禁断の地』。……行ってはならない………怒り狂った神の住む、呪われた地、だそうだ…」
形の良い赤い唇を尖んがらせて、イブはあからさまにつまらないという態度をとりながら嘲笑する。
「馬鹿馬鹿し~い……凍ったお城があるだけじゃん。怒り狂った神って何の比喩よ。………お城に怖―いお化けでもいるっての?」
「聖地でも、何でもない。間違っても近寄ってはならない。………訪れた者は、必ず神の怒りを買う………誰一人、戻っては来れない……狩人の世界では有名な話。………人はその場所を………」
書きなぐられた名称を、リストは指先でトントンと突いた
まるで震えた手で書いた様なその黒い文字は、世間から注がれる恐怖をありありと表現している様に見えた。
「―――………『禁断の地』。……行ってはならない………怒り狂った神の住む、呪われた地、だそうだ…」
形の良い赤い唇を尖んがらせて、イブはあからさまにつまらないという態度をとりながら嘲笑する。
「馬鹿馬鹿し~い……凍ったお城があるだけじゃん。怒り狂った神って何の比喩よ。………お城に怖―いお化けでもいるっての?」


