亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

そんな二人は、ローアンが玉座についてから二年の今現在………。

……国家騎士団幹部、総団長補佐兼特務師団長……という、なかなか高い位についていたりする。





そんな重役の二人が何故、デイファレトの雪深い街にこうやっているのか。


……実は女王陛下に命じられてからもう……数週間、この国に潜伏している。





その国王直々の命令というのが…。





































「―――…お前達はどちらかと言えばかなり不仲で、口喧嘩の挙げ句、訓練中に部下の前で殴り合いをする程忌み嫌いあっている事は、もう随分前から知っている。飽きるくらい見た。見飽きた。そうやって私の前で二人並んで立つのにも苛立って仕方ないことも薄々感付いている。……………それを踏まえた上で、単刀直入に言う…」



玉座に座ったローアンを見上げるイブとリストは無言だったが………嫌な予感がしていた。

小高い玉座へ続く小さな階段の真ん中で、ルウナが何やら分厚い書物を広げて黙々と読んでいた。



「――…バリアンの目を盗み、我が国は極秘にデイファレトへ赴き………行方不明の王族を捜索する。………………私がバリアンへ行く前に、一足先にだ…。影に隠れながら、怪しまれない様に。そのためには、極力少人数で。あの殆ど野放しの雪国で何が起きても対処出来る様、高い戦力を備えている事が絶対的条件。………………そこでだ…」

「…嫌だ」

すかさずイブは拒否したが、ローアンは無視した。



「………その条件に一番適した、お前達二人に行ってもらいたい…」





……イブはあからさまに嫌そうな顔で、隣りに立つリストを見上げた。