意味深な言葉を言い放つケインツェルに、ドールは振り返り、眉をひそめた。
「…どういう事かしら?…………………………その言い方だと………条件次第、って事?」
「さすがドール嬢!!察しがいい!………こちらは、フェアにいきたいのですよ……穏便に。…でなければ、バリアン王が過労死でもしてしまいそうですからねえ!!フフフフフフフ!!」
……何がおかしいのか。自分で言った事に、この男は腹を抱えて笑い続ける。
………つくづく、気持ちの悪い奴だ。
「お前らにフェアなんて言葉……存在しないでしょう?…………………で?………その怪しい条件とやらを黙って呑めば………何がどうフェアになるのかしら?」
ドールは一歩歩み寄り……オレンジの瞳を妖しく光らせた。
聞いてやろう、という態度を見せると、ケインツェルは口元の笑みを深めた。
「…………………まず第一に、貴女の御父上を解放して差し上げましょうか。勿論無傷で……壊れ物を扱う様にね。………………第二に………貴方方、民の要求を…そっくりそのまま鵜呑みにしてあげましょう…。……国王の交代以外ですが」
………ドールは眉間の皺を更に深くした。
訝しげな、疑い深いその表情は、少女にしてはあまりにも大人びている。
「………………鵜呑みに?………こちらが望む事全てを?……………側近さん…それは革命に近いのではなくて?」
冗談…とからかうドールに対し、ケインツェルは嬉しそうに答える。
「そう………革命。…………革命ですよ、ドール嬢!………私はガラッと変わる盛大なイベントが大好きなんですよ!!……………だから私は…この停戦状態がつまらなくて仕方が無い!!」


