「……下手に出ているのは、文の言い回しのみ。我が国の領土に入る事は恐れ多いと言いながら…何でもなかったかの様に改行で流し、ちゃっかり謁見の話を約束しておりますねぇ。………話の流れが早い上に見えない所で挑戦的で且つユーモアな書状だ!…アッハッハッハ!!」
「笑い事ではないわ!!」
数ヶ月前に送られてきた例の書状を眺めながら、ケインツェルは高らかに笑い事をあげる。
厳重な国境を越え、貴族からの手紙の山にどうやって紛れ込ませたのかは知らないが、何の障害も無く、この書状は城に辿り着いた。
何気無くその書状を開いた執務官が、真っ青な形相で謁見の間に駆け込んで来たのはよく覚えている。
「………捨ててしまわなくて良かったですねぇ~。…しかし………よくこの様な大胆な真似を致しますなぁ…」
「………王政が成り立ってから…まだ二年足らずの国が………無礼にも程があるわ!」
ケインツェルが差し出してきた書状を、老王は忌々しそうに振り払う。
「………確かにまだ二年ですが…………………その弱小フェンネルは、王が誕生した途端………あらゆる改革が施され、統治は終わり…ほぼ完璧な国政が出来上がっている、とか?…………その、たったの、二年でね…」
「………」
ニヤニヤと笑うケインツェルを、老王はジロリと睨み付けた。
おお、怖い怖い、と銀縁眼鏡は笑いながら後退した。
………事実、隣国のフェンネルは、驚く程のスピードで自国の統治を完了した。
あの狂王と言われた52世の悪政から、しばらくは激しい内紛で混乱し、勝手に自滅していった国だったが………。
………あの六年戦争に終止符が打たれてから、王政は復興した。
「笑い事ではないわ!!」
数ヶ月前に送られてきた例の書状を眺めながら、ケインツェルは高らかに笑い事をあげる。
厳重な国境を越え、貴族からの手紙の山にどうやって紛れ込ませたのかは知らないが、何の障害も無く、この書状は城に辿り着いた。
何気無くその書状を開いた執務官が、真っ青な形相で謁見の間に駆け込んで来たのはよく覚えている。
「………捨ててしまわなくて良かったですねぇ~。…しかし………よくこの様な大胆な真似を致しますなぁ…」
「………王政が成り立ってから…まだ二年足らずの国が………無礼にも程があるわ!」
ケインツェルが差し出してきた書状を、老王は忌々しそうに振り払う。
「………確かにまだ二年ですが…………………その弱小フェンネルは、王が誕生した途端………あらゆる改革が施され、統治は終わり…ほぼ完璧な国政が出来上がっている、とか?…………その、たったの、二年でね…」
「………」
ニヤニヤと笑うケインツェルを、老王はジロリと睨み付けた。
おお、怖い怖い、と銀縁眼鏡は笑いながら後退した。
………事実、隣国のフェンネルは、驚く程のスピードで自国の統治を完了した。
あの狂王と言われた52世の悪政から、しばらくは激しい内紛で混乱し、勝手に自滅していった国だったが………。
………あの六年戦争に終止符が打たれてから、王政は復興した。


