ジリジリと焦げ付く様な、暑い日差しが差し込む廊下。



前も後ろも一本道のそこを、ズラリと並んだ兵士……そしてその群の中央で、数本の槍を突き付けられながらも平然と歩く、人影。





「―――」








厳重な警戒体制で包囲する中、先頭を歩くウルガはちらりと振り返った。




まるで罪人同然の扱いを受けている、マントで全身を覆った人物は、歩調も乱さず、前を見据えたままだ。


大柄な自分から見れば、どの他人も小さく見えるが………………この人物は、遥かに小さい。


背丈も肩幅も、手足も何もかも………小さい。

周りを囲む兵士達から見ても、この中で一番……小さい。






…………子供…。
























少し歩いて行くと、長い廊下の先に、巨大な扉があった。




………謁見の間だ。







本の数日前も、こんな風に招かれざる客人をここまで案内した。
その時の記憶が、脳裏を掠める。





「………着いたぞ」

ウルガはそう言って、重い扉を開けさせた。

重苦しい音が鳴り響く中、徐々に広がっていく隙間から広大な部屋の景色が見えてきた。





「………前に進め」


完全に扉が開いても、なかなか動こうとしない目下の小さな人物。
ウルガは少々荒々しく腕を引っ張った。



……ウルガの大きな手で掴めば折れてしまいそうな華奢な腕。

グッと引っ張ると、その腕はウルガの手を思い切り払い除け………。













………ペッ、と顔に唾を吐かれた。










「………」


無言でウルガは唾を拭いながら、小さな柄の悪い人物を睨んだ。