「―――………王はとうとう……デイファレトの王族を始末する気になったらしい…」


「………とうとう………と言うより…………………やっと、ではないか?……………………………デイファレト王51世を殺めた、最後の戦から……………………40年…50年も経っているぞ……」


「………………何故、そんなに長く間があったのか……。…………………バリアン王はずっと……その…………何と言うか………被害妄想…?」


「………おまけに自意識過剰………………幻覚や幻聴まで…………………精神を侵された病人の様に…狂気の沙汰だったな……」


「王妃を娶られてからは少し落ち着いていたが………亡くなられてからは、またぶり返したな……」


「………お二人の王子も可哀相に。………御父上があれでは、気苦労が絶えないだろうに……」


「………数日前に行かれた神声塔で……何があったのかは知らないが………それが今回の引き金の様だ…」


「………デイファレトに兵を送るんだろう?………軍隊でも送るつもりだろうか…」


「いいや。…それが、違うらしい。…………………いつ死んでも良い様な、捨て駒に等しき人間を送るらしい。………………罪人、ではないか?」


「………罪人……?…………今、地下牢にいる罪人で使えそうな者などいたか…?………………強いて言えば………………あの、賊の……長か…?」


「………あの賊は………バカでかい反国家組織だろう…?今も、長を返せと組織側が要求してきているが……………停戦状態だな…」


「使われるのは長ではない。長は…多分……餌だろうよ…」