弓という武器は、剣や槍とは違う。
引いてしまえば、最後。
射るしか、道は無いのだ。
弓を引いた時点で、退路は無いのだ。
視界の隅で白い光は明確な輪郭を象り、次の瞬間には真っ白な氷の矢が出来ていた。
弦を引く右腕と、弓を押さえる左足の震えを堪えて、レトはゆっくりと目下の獲物に向かって標準を定める。
鋭い矢が狙うその先には、人型の、動かぬ青白い光。
その向かい側で、黒い魔法陣が現れては消えていくのを繰り返していた。
ここからではあまり見えないが、ノアが迎撃しているのだろう。
ノアの言っていたたった一瞬の好機を逃すまいと、臨戦体勢でレトはひたすら待つしかない。それが、この矢を放す合図だ。
「―――全て…の………精に…」
『―――僕が、許すよ』
…泣いてもいいって、君は言ってくれた。君の前では泣きたい時に泣いてもいいって、君は許してくれた。
でもね、今は……泣いたら駄目なんだ。
君は許してくれたけど、僕が…僕自身が決めたことなんだ。
ごめんなさい。
「―――…命…に………」
『僕らは、僕と君は友達なんだろう?』
『…君はそう思っていないかもしれないけれど………僕にとっては、君が最初の…最初の親友なんだから』
一瞬、矢を番えた右手の指先が、震えた。
唇を噛み締めた。
強く、強く、噛み締めた。
血が滲むんじゃないかってくらい、夢中で、ひたすら。
だって、そうでもしないと。
「―――………感、謝………しま……す…」
『………下手くそ』
君は笑って言った。
もう一度笑えば、今度は何て言ってくれるのかな。
引いてしまえば、最後。
射るしか、道は無いのだ。
弓を引いた時点で、退路は無いのだ。
視界の隅で白い光は明確な輪郭を象り、次の瞬間には真っ白な氷の矢が出来ていた。
弦を引く右腕と、弓を押さえる左足の震えを堪えて、レトはゆっくりと目下の獲物に向かって標準を定める。
鋭い矢が狙うその先には、人型の、動かぬ青白い光。
その向かい側で、黒い魔法陣が現れては消えていくのを繰り返していた。
ここからではあまり見えないが、ノアが迎撃しているのだろう。
ノアの言っていたたった一瞬の好機を逃すまいと、臨戦体勢でレトはひたすら待つしかない。それが、この矢を放す合図だ。
「―――全て…の………精に…」
『―――僕が、許すよ』
…泣いてもいいって、君は言ってくれた。君の前では泣きたい時に泣いてもいいって、君は許してくれた。
でもね、今は……泣いたら駄目なんだ。
君は許してくれたけど、僕が…僕自身が決めたことなんだ。
ごめんなさい。
「―――…命…に………」
『僕らは、僕と君は友達なんだろう?』
『…君はそう思っていないかもしれないけれど………僕にとっては、君が最初の…最初の親友なんだから』
一瞬、矢を番えた右手の指先が、震えた。
唇を噛み締めた。
強く、強く、噛み締めた。
血が滲むんじゃないかってくらい、夢中で、ひたすら。
だって、そうでもしないと。
「―――………感、謝………しま……す…」
『………下手くそ』
君は笑って言った。
もう一度笑えば、今度は何て言ってくれるのかな。


