同時に、敵意を孕んだ警戒の眼差しでケインツェルを睨み付けるログは、こちらに来るなと言わんばかりに、長い杖を突き付けた。
杖の先端の魔石が、赤々とした光を帯びる。いつでも応戦出来る素早い体勢だ。
…しかし、強大な魔術を前にしていながら、ケインツェルは少しも怯む様子も見せずにズカズカと歩み寄る。
真っ直ぐ伸びたログの杖先に、触れるか否かという寸前の所で立ち止まったかと思うと…ケインツェルはそっと眼鏡をかけ直し………その場で、膝を突いたのだった。
「―――…何の真似だ」
跪ずいて深々と頭を下げるケインツェルの読めない奇行に、リイザは呟いた。
松明の明かりが、不定期なリズムで何度か爆ぜる音色を間に挟んだ後……薄笑いを添えた、悪寒さえも感じる何とも不気味な低い声音で、ケインツェルは静かに言葉を紡いだ。
「―――…新しき国王陛下の即位を…御祝い申し上げます。………このケインツェル、是非ともリイザ様に御仕えしたく思います…。存分にお使い下さいませ………そして、それ以上に…」
私を、楽しませて下さい。面白いものを見せて下さい。
「貴方なら…もっと楽しめそうだ…!言ったでしょう…?私は……楽しければそれで良いのだと!!…フフフフフ!!」
…不敵な笑い声に塗れる中、リイザは無言でケインツェルから視線を外し、そしてそのまま……その後ろで独り佇むウルガを見遣った。
瞬間、大柄な彼の喉仏がごくりと息を飲んで動くのが見えた。
何処か緊張した面持ちのウルガは、視線を重ねてはくるものの固い口を開こうとしない。
互いにじっと…敵意も何も無い奇妙な視線で結び合っていたが…最初に口を開いたのは、リイザだった。
たった、一言だけ。
重い言葉が、ウルガの心を大きく揺るがした。
「―――お前はどうする。ウルガ=デニメス」
幼くも芯を持つ赤い瞳が、ウルガだけを映していた。
杖の先端の魔石が、赤々とした光を帯びる。いつでも応戦出来る素早い体勢だ。
…しかし、強大な魔術を前にしていながら、ケインツェルは少しも怯む様子も見せずにズカズカと歩み寄る。
真っ直ぐ伸びたログの杖先に、触れるか否かという寸前の所で立ち止まったかと思うと…ケインツェルはそっと眼鏡をかけ直し………その場で、膝を突いたのだった。
「―――…何の真似だ」
跪ずいて深々と頭を下げるケインツェルの読めない奇行に、リイザは呟いた。
松明の明かりが、不定期なリズムで何度か爆ぜる音色を間に挟んだ後……薄笑いを添えた、悪寒さえも感じる何とも不気味な低い声音で、ケインツェルは静かに言葉を紡いだ。
「―――…新しき国王陛下の即位を…御祝い申し上げます。………このケインツェル、是非ともリイザ様に御仕えしたく思います…。存分にお使い下さいませ………そして、それ以上に…」
私を、楽しませて下さい。面白いものを見せて下さい。
「貴方なら…もっと楽しめそうだ…!言ったでしょう…?私は……楽しければそれで良いのだと!!…フフフフフ!!」
…不敵な笑い声に塗れる中、リイザは無言でケインツェルから視線を外し、そしてそのまま……その後ろで独り佇むウルガを見遣った。
瞬間、大柄な彼の喉仏がごくりと息を飲んで動くのが見えた。
何処か緊張した面持ちのウルガは、視線を重ねてはくるものの固い口を開こうとしない。
互いにじっと…敵意も何も無い奇妙な視線で結び合っていたが…最初に口を開いたのは、リイザだった。
たった、一言だけ。
重い言葉が、ウルガの心を大きく揺るがした。
「―――お前はどうする。ウルガ=デニメス」
幼くも芯を持つ赤い瞳が、ウルガだけを映していた。


