―――拝啓。
…突然のこの様な書状、どうか御許し下さい。
………大国バリアン王50世殿、この数百年の長きに渡る、閉ざされた沈黙の関係を打破すべく、希に見ない行為ではありますが………我が国は国交を望んでおります。
極めて友好的な関係を築くことを。
それには、どちらかが外に出なければなりますまい。
………王政が成り立ってから日が浅い我が国ごときが、歴史ある貴殿の大国にこの様な浅はかな話を持ち掛けるのは、無礼極まりない事ではありますが…寛大な陛下なら理解して頂けることでしょう。
…そこで…我が国は短き冬が終わり、雪解けの時期になる頃………そちらに使者を遣わせます。国交について、他件も交えて、お話したき事が…。
神聖な貴殿の地に足を踏み入れるなど、非常に恐れ多いことで御座います。
では我が国の冬季の終わりに、御会い致しましょう。
使者には無礼の無い様…充分に言いつけておきます故。
出来れば、国境沿いに案内の者を遣わせて頂くと嬉しい限りで御座います。
不法侵入ととられては仕方ありませんので。
念の為、もう一度だけ発言を御許し下さい。
極めて、友好的な、関係を………。
―――敬具
第三大国フェンネル
…………フェンネル王54世


