枝が波打つ地上が、青白い靄で霞んで見えない。
しかし、その中でも闇を打ち消す青い光のシルエットだけは、一番に目につくほど孤立して見えた。
本当の。
本当の勝負は。この夜に狩る獲物は………あのシルエット。
あの恐ろしい青白い光……誰かを傷付けるだけの……そして、あの子を閉じ込めてしまった忌ま忌ましい光が、消えたその一瞬が………恐らく最後の好機。
そこを逃せば、後は無い。
皆、死んでしまうのかな。
僕も、死んでしまうのかな。
「…父さん…怒るだろうなぁ……………母さんと一緒に…いるのかな…」
…父に会いたい。母にも会ってみたい。
…だが、次の再会はもっと未来でなければならない。
父との最後の約束を思い出しながら、レトは冷たい氷の壁に背中を預け、大きく息を吐いた。
凍てついて白くなった長い睫毛の先をぼんやりと眺めて、何度か瞬きを繰り返し、感覚は無いくせに痛みだけは残っている意地悪な左腕を撫でて。
「―――………………………ユノ…」
白い吐息が漏れ出る唇を噛み締めると、レトは動く右手を腰のベルトに伸ばし。
そっと、弓を掴んだ。
「―――…何だと?」
風穴から吹き込む熱を帯びた夜の風が、傍らの燭台の上で灯っていた小さな明かりを、音も無く闇に押し流した。
少しばかり暗さを増した視界の中、リイザは目下に佇む一人のシルエットに向かって、あからさまに顔をしかめた。
揺れる松明の光に照らされて、階下からこちらを見上げてくる男の薄気味悪い笑みが、チラチラと見えた。
銀縁眼鏡の奥にある、目に入るだけでも不快で粘着質な視線を、嫌々ながらも受け止めながら思わず口を開けば…その男、ケインツェルは、にんまりと口元に孤を描いた。
「―――…再度申し上げましょうか。私は……『理の者』です。……博識な王子ならば、耳にした事くらいはあるでしょうかねぇ?…フフフフフ!」
しかし、その中でも闇を打ち消す青い光のシルエットだけは、一番に目につくほど孤立して見えた。
本当の。
本当の勝負は。この夜に狩る獲物は………あのシルエット。
あの恐ろしい青白い光……誰かを傷付けるだけの……そして、あの子を閉じ込めてしまった忌ま忌ましい光が、消えたその一瞬が………恐らく最後の好機。
そこを逃せば、後は無い。
皆、死んでしまうのかな。
僕も、死んでしまうのかな。
「…父さん…怒るだろうなぁ……………母さんと一緒に…いるのかな…」
…父に会いたい。母にも会ってみたい。
…だが、次の再会はもっと未来でなければならない。
父との最後の約束を思い出しながら、レトは冷たい氷の壁に背中を預け、大きく息を吐いた。
凍てついて白くなった長い睫毛の先をぼんやりと眺めて、何度か瞬きを繰り返し、感覚は無いくせに痛みだけは残っている意地悪な左腕を撫でて。
「―――………………………ユノ…」
白い吐息が漏れ出る唇を噛み締めると、レトは動く右手を腰のベルトに伸ばし。
そっと、弓を掴んだ。
「―――…何だと?」
風穴から吹き込む熱を帯びた夜の風が、傍らの燭台の上で灯っていた小さな明かりを、音も無く闇に押し流した。
少しばかり暗さを増した視界の中、リイザは目下に佇む一人のシルエットに向かって、あからさまに顔をしかめた。
揺れる松明の光に照らされて、階下からこちらを見上げてくる男の薄気味悪い笑みが、チラチラと見えた。
銀縁眼鏡の奥にある、目に入るだけでも不快で粘着質な視線を、嫌々ながらも受け止めながら思わず口を開けば…その男、ケインツェルは、にんまりと口元に孤を描いた。
「―――…再度申し上げましょうか。私は……『理の者』です。……博識な王子ならば、耳にした事くらいはあるでしょうかねぇ?…フフフフフ!」


