―――キルルルル、と空気を震わす金切り声を上げて、アルバスは限られた範囲の空間を旋回する。
雛鳥の時と変わらない優しげなつぶらな瞳が、背中のレトを一瞥してきた。
「…アルバス………僕は、いいから…」
地上にポツンと独り孤立する小さなシルエットの足元に、奇っ怪な模様の魔法陣が浮かび上がるのが見えた。
遠くとも分かる。ユノは今、僕等を見上げている。
………まずい。
「…アルバス……僕に構わないで…!アルバス!」
背中から飛び降りようとするレトを、大きな嘴が押し止めてくる。
守ってくれようとしているのだ。だが…このままでは。
…直後、地上の魔法陣が、一際強い閃光を放った。狂った笑い声も、耳に入った。
そして同時に、突如天井から生えてきた数十本の氷柱の群れが、アルバスの行く手を阻んだ。
「アルバス!?……っ…!?」
アルバスは勢いよく、氷柱の壁にぶち当たった。 反動でクラリとよろめきながらも何とか羽をばたつかせるアルバスだったが、長い氷柱はまるで蔦の様にその巨体に絡み付いた。
僅か数秒足らずで、アルバスの身体は狭い氷の繭に閉じ込められた。
完全にがんじがらめにされる直前、レトは隙間から抜け出した。
再び地上目掛けて落ちていく最中……自分を呼ぶアルバスの悲痛な鳴き声を聞いた。
(―――…皆…僕を守ろうとして………凄く痛い、怪我をしていく…)
…それは。
僕が怪我をするよりも、とても痛くて。
とても、悲しくなるんだ。
(………凄く嫌な筈なのに……僕のために嫌な事をしようとする……)
平気だよって、無理矢理嘘を吐くその笑顔が………本当は泣きそうになっていて。
凄く、切なくなる。
(………関係…無いのに…きっと争いの理由なんて分からない筈なのに…………僕を、助けてくれようとして……)
皆。
みんな。
僕なんかのために、傷ついていく。
僕の目の前で。僕のために。
僕は、もう、そんなの。


