「僕、狩人がどんなのか知っているよ。一族で旅をする民なんだろう?」
「………うん」
ヒュッ、とユノの雪が頭上を通り越して行った。
「…子供が生まれて、立てる位にまで成長したら、父親は子供を狩人として一人前にするために、長い旅に出る。……母親は、何処かの街で止まるんだっけ…?」
「………うん。……………女性は………命を生み出す神聖なものだから…………………………危険を伴う旅には、出ては行けない…」
力を込めて強めに雪を投げたが、素早いユノには掠りもしなかった。
そういえば皮手袋をしていない。
………手がかじかんでいる事に、今更気付いた。
「聞いた事があるけれど、他国では男尊女卑って言って、女性は身分も扱いも酷いものらしいよ。………この国とは正反対だ。…………君の母親は、何処かの街にいるのかい?」
宙を舞うユノの雪。
フワリと上昇し、弧を描いて下降していったそれは…。
………急に動かなくなったレトの頭に、ボスッと軽い音を発して当たった。
…ポロポロと落ちる雪の欠片。
雪が絡み付いた綺麗な青銀髪からは………。
いつもの半開きの、ぼんやりとした………………………光の無い目が、覗いていた。
…握っていた雪を、ギュッと掴む。
それは手の平から滑り落ちていった。
黙りこくってしまったレトを、ユノは怪訝な表情で見詰める。
レトは足元に視線を移して、ポツリと…呟いた。
「…………母さんは……………………死んでるから、いない」


