亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

「………次に…生ま、れた時…は……………また、歩け…ない、女の子…に…生まれたいわ……」





また、車椅子を引いた女の子になりたい。

だってそうすれば、またあなたは、私をダンスに誘ってくれるでしょう?

あの時のあの心地良さを、そっくりそのまま…また、感じてみたいの。







イーオは微笑を浮かべたまま、深い息を吐いた。
もう一度ノアの美しい顔を見てみたかったが、残念な事に瞼が上がってくれない。

ならばせめて、耳でノアを感じ取ろうとも試みるが、懐かしいその声が段々と遠くに、より遠くに聞こえる様になっている。
非常に、残念だ。



「―――…ごめんなさいね…」





こんな足手まといにしかならないおばあさんだもの。
ちっとも役に立てなくて、ごめんなさいね。


眼帯の男の子にも、私に自殺をさせてだなんて無茶な事をお願いしてしまって…困らせたわね。


…ああ、そうだ。
フェンネルにいると聞いていた、私と同じ“力”を持っているっていう男の子にも…結局、会えなかった。
とても、会いたかったのに。残念ね。
ごめんなさいね。










ごめんなさい、ね。


ノア。

やっと再会出来たのに。また独りにしてしまって。

ごめんなさいね。


でも、もう大丈夫よ。


これからは、あなたはもう、独りぼっちじゃないでしょうから。












イーオは、深く息を吸い込んだ。


遠退く意識の白い靄の向こうから、大好きなノアの声が聞こえてくる。

ああ、泣いているのかしら。








「―――フローラ…あの歌の最後の詩が、どうしても思い出せないのです。………あの頃の様に、私の前で歌ってくれませんか…?…フローラ……………フローラ…」









肺に溜め込んだ息を、ゆっくりと吐きながら…イーオは、少し意地の悪い小さな笑みを浮かべた。























「―――………………次に会った…時に…………………教えて…あげる…わ…ね…」