外に出ると、淡い朝日が全身に降り懸かってきた。
空はいつも通りの曇り空だが、何だか明るい気がする。
足元に目をやると、自分とは違う足跡が先の方まで続いていた。
……多分、あの少年の…ユノ王子のものだろう。
「………」
足跡をじっと見下ろしながら、レトはそれを辿って行く。
ザクザクと深雪に足を突っ込んで進む。
………洞窟から少し離れた所で、足跡は途中で切れていた。
…周囲を見回しても、あるのは凍て付いた樹々の群ればかり。
人の姿など皆無な空間が広がっていた。………しかし、気配ははっきりと…。
―――ヒュッ…。
正面から、何かが空を切る音が聞こえた。
研ぎ澄まされた聴覚はその接近物との距離、速さを瞬時に捉えた。
―――が。
……ベシャリ、と柔らかい雪の塊が、ピクリとも動かないレトの顔面に、当然ながらぶつかった。
……前方に群れなす樹々の、その内の一本の影から……半ば呆れたユノが出て来た。
………やっぱり動かないレトを眺めて、ユノは溜め息を吐いた。
「…………避けなよ。どうして避けないの?……今絶対見切ってたよね…」
「……………………………何となく…」
「変な子供」
ユノは苦笑しながら目前まで近寄ると、先程と同様に顔の雪を払ってくれた。
ほぼ同じ位の目線の高さ。
レトを映す鮮やかなエメラルドグリーンの瞳は、実に楽しそうに笑い、輝いていた。
………世の中にこんな綺麗な男の子もいるんだな、とレトは内心思っていた。


