そんなボロボロの容姿で笑っているのだから、もう滑稽でしかない。
そんな微笑とも言えない微笑を、小さな雛鳥はふと足を止めて見詰めた。
ぎこちない笑顔はとても悲しげに涙し、ただただ雛鳥に向けられていた。
冷たい床に近い、低い位置で交わる視線。
響き渡るユノの足音が何処か遠くに感じる程、その一時は、静かだった。
いつでも、何処へ行く時でも、追い掛けずにはいられない…大好きなものは、何やら痛そうに横たわって、自分に向かって、アルバスと呼んでいる。
アルバスというのは、自分のことなのだといつからか分かっていて。
大好きなものに呼ばれたから、嬉しくて傍に行きたいのに。
大好きなものは自分を呼ぶのに、来るなと怖い顔をする。
大好きなものはいつも無表情なのに、今は違う顔をしている。
大好きなものは、自分を見ている。
でも、もう一つの大好きなものが、大好きなものに近寄っていく。
もう一つの大好きなものの後ろ姿で、大好きなものが見えなくなっていく。
どんどん、見えなくなっていって。
完全に見えなくなる、その時。
「逃げるんだよ、アルバス」
大好きなものが見えなくなるのが嫌で、アルバスはいつの間にか、駆け出していた。
やけに滑る平面の地面を走り、パタパタと黒い羽をばたつかせて。
キラキラと光る、でも綺麗ではない長いものを持ったもう一つの大好きなものが、大好きなものに向かって振りかぶろうとしていた。
それが凄く嫌で、もっと早く走れないかと、もっと首が伸びないものかと、何度も、何度も地を跳ねて。
跳ねて。
身体を浮かせて。
前へ。
前へ。
前へ、飛んで。
「―――っ…!?」
剣を振り下ろそうとした瞬間、無防備だったその背中を…何処からともなく吹き付けてきた吹雪が押した。
そんな微笑とも言えない微笑を、小さな雛鳥はふと足を止めて見詰めた。
ぎこちない笑顔はとても悲しげに涙し、ただただ雛鳥に向けられていた。
冷たい床に近い、低い位置で交わる視線。
響き渡るユノの足音が何処か遠くに感じる程、その一時は、静かだった。
いつでも、何処へ行く時でも、追い掛けずにはいられない…大好きなものは、何やら痛そうに横たわって、自分に向かって、アルバスと呼んでいる。
アルバスというのは、自分のことなのだといつからか分かっていて。
大好きなものに呼ばれたから、嬉しくて傍に行きたいのに。
大好きなものは自分を呼ぶのに、来るなと怖い顔をする。
大好きなものはいつも無表情なのに、今は違う顔をしている。
大好きなものは、自分を見ている。
でも、もう一つの大好きなものが、大好きなものに近寄っていく。
もう一つの大好きなものの後ろ姿で、大好きなものが見えなくなっていく。
どんどん、見えなくなっていって。
完全に見えなくなる、その時。
「逃げるんだよ、アルバス」
大好きなものが見えなくなるのが嫌で、アルバスはいつの間にか、駆け出していた。
やけに滑る平面の地面を走り、パタパタと黒い羽をばたつかせて。
キラキラと光る、でも綺麗ではない長いものを持ったもう一つの大好きなものが、大好きなものに向かって振りかぶろうとしていた。
それが凄く嫌で、もっと早く走れないかと、もっと首が伸びないものかと、何度も、何度も地を跳ねて。
跳ねて。
身体を浮かせて。
前へ。
前へ。
前へ、飛んで。
「―――っ…!?」
剣を振り下ろそうとした瞬間、無防備だったその背中を…何処からともなく吹き付けてきた吹雪が押した。


