亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

掠れた声を白い吐息と共に漏らせば、喉と肺が痛みに悲鳴を上げた。
でも、そんなのお構い無しだ。

僕は、彼に言いたいのだ。






「…ユノが、王様だよ。…僕の中の王様は、ユノだけだもん…。………僕の夢はね…ユノを…王様にすること、なんだ…。………少し前に、決めた夢なんだ…。………だから僕…恨んでないよ…。……僕が、間違ってるんだから…」


地面が、小刻みに揺れた。横揺れする大地の震えが、断続的に続く。


「……ユノは、嫌かもしれないけど………僕はね………………ちっとも、嫌とか…思ってないよ……後悔なんか、してないよ………………ユノと、会えた事…」


右手の拳の内に感じる、固い感触。
握り締めるそれは、小さくて脆い存在だが………レトにとっては、形に残る掛け替えのない、愛おしい大きな存在だった。

彼と交わした約束の、証。その、片割れ。



何も無い僕の、一番の、宝物。









「……こんな事になるって分かっていても……僕は………ユノと、会えて…良かったと思う…。………僕が、僕で…良かった………僕は…君からたくさん…色んなもの貰ったし………ユノは、僕の……生まれて初めての、友達に……親友になって、くれた…。…………………僕…本当に………………嬉しかった…」








嬉しかったんだ。


名前を、呼んでくれて。

一緒に並んで歩いてくれて。

いっぱい叱ってくれて。

手を繋いでくれて。

たくさん、笑ってくれて。



独りだったら分からない事を、君は教えてくれた。
ぎこちないけど笑えている自分が、いつの間にか彼の横にいた。


周りが、自分が、変わっていくのが分かった。









後悔なんて、しない。

あの一瞬が、たくさんの一瞬が、幸せだったから。
そう思えるから。



だから僕は、君を嫌いになんかならない。













「………ユノの夢が、僕の夢になればいいなぁって…思ってたから……僕…消えてもいいやって………思ったんだけど…」