―――。
―――えっ…と?
まだ現状把握が出来ずにいるレト。
顔をしかめた少年はそんなレトに被さった雪を、適当に払い除ける。
「睡眠中に雪なんか被せられたら、普通は驚くか怒るものだよ。……これじゃあ僕が苛めているだけじゃないか…」
ブツブツと少年はぼやく否や、クルリと踵を返して駆けて行った。
少年が向かった方には、焚き火を囲むザイとサリッサ。
「お母様、暇だから僕は外にいます」
サリッサにそれだけ言うと、少年は軽い足取りで洞窟の外に走って行った。
「――ユノ!?………こら…お待ちなさい!!………勝手に独りで!!」
慌てるサリッサの忠告も聞かず、ユノは深雪の向こうに姿を消した。
剣を黙々と磨いていたザイは、走り去って行ったユノを一瞥し……再び手元の剣に目を移した。
「………今のところ、この辺に獣の気配は無い。心配する必要は無いが……………………………レト、念の為に…一緒にいなさい」
「………」
レトは無言でザイを見詰め、次に洞窟の外を見詰め………やっぱりザイを見詰め……。
「………うん」
………重い腰を上げた。
「……御免なさいね、あの子……悪戯好きで…とてもやんちゃなの……」
申し訳無さそうに頭を下げるサリッサ。
「……ユノ様は気配の消し方がお上手でしたな。…寝ているレトに悪戯が出来るとは。…………レト、私を睨む暇があるなら王子様の所へ早く行きなさい」
……レトは渋々マントを羽織直し、足早に洞窟を出た。


