ローアンはまだ、あまり魔術を使いこなせていない。
元々白の魔術自体が強大過ぎる代物であり、下手をすれば術者自身が魔術に呑まれてしまう事もある危険な力だ。
魔術は、生きている。
剣術とは訳が違う。
不慣れながら、それでもなんとか鍛練を重ねて早一年足らず…ようやく形にする事が出来たが、最大限の力の解放には至らない。
そんな半人前の魔力が、暴走する魔力を相手に勝ち目など…ある筈が無い。
そして案の定、歴然である力の差が目に見える形の結果となって現れた。
(―――っ…!?)
突如、激しい疲労感と動悸がローアンを襲い、防御の手を緩ませた。
行く手を遮る魔法陣が一気に原形を崩したと見るや否や、氷柱の牙が容赦無くローアンに襲い掛かった。
目眩で若干朦朧とする意識の中を、ローアンは咄嗟に身体を捻って鋭い刃を避けた。
すぐ脇を、棘だらけの凍てついた道が通過していくのを横目で捉えた。
…なんとか回避出来たのか、と思いながらクラクラする頭を抱えて息を吐いたのも、束の間。
「離、れて…!!」
響き渡るレトの声に、ハッと見開いたローアンの目下には…もう見飽きてしまった、青白い魔法陣が一つ。
足元で神々しい光を放つそれは、華奢だが大きく美しい彫刻の如き氷の手を生やし、一瞬の隙を突いてローアンの両足を掴んだ。
「…何っ……!!」
「…あっ…!」
氷の手はローアンを掴んだまま、高々と天井にまで一気に伸び続けた。真下の地上から、困惑仕切ったレトの声が聞こえてきた。
叩き付けられる、と危機感を感じて反射的に身を固めたが、直後、歪んでいた空間がグニャリと形を変えた。
不意に起こった歪みのせいなのか、密室だったこの空間にたった今、天井のとある一部分に外界へと繋がる穴が空いたのだ。
大して大きくも小さくもない不自然な穴に、ローアンの身体は邪魔だと言わんばかりに放り投げられた。
反抗的な風圧が、ローアンを一気に外に押し出し、逆に吹雪を纏う外界が彼女を引きずり出す。
厚い氷の壁を何層も越え、極寒の城の外に放り出された途端………穴は、一瞬で塞がってしまった。
元々白の魔術自体が強大過ぎる代物であり、下手をすれば術者自身が魔術に呑まれてしまう事もある危険な力だ。
魔術は、生きている。
剣術とは訳が違う。
不慣れながら、それでもなんとか鍛練を重ねて早一年足らず…ようやく形にする事が出来たが、最大限の力の解放には至らない。
そんな半人前の魔力が、暴走する魔力を相手に勝ち目など…ある筈が無い。
そして案の定、歴然である力の差が目に見える形の結果となって現れた。
(―――っ…!?)
突如、激しい疲労感と動悸がローアンを襲い、防御の手を緩ませた。
行く手を遮る魔法陣が一気に原形を崩したと見るや否や、氷柱の牙が容赦無くローアンに襲い掛かった。
目眩で若干朦朧とする意識の中を、ローアンは咄嗟に身体を捻って鋭い刃を避けた。
すぐ脇を、棘だらけの凍てついた道が通過していくのを横目で捉えた。
…なんとか回避出来たのか、と思いながらクラクラする頭を抱えて息を吐いたのも、束の間。
「離、れて…!!」
響き渡るレトの声に、ハッと見開いたローアンの目下には…もう見飽きてしまった、青白い魔法陣が一つ。
足元で神々しい光を放つそれは、華奢だが大きく美しい彫刻の如き氷の手を生やし、一瞬の隙を突いてローアンの両足を掴んだ。
「…何っ……!!」
「…あっ…!」
氷の手はローアンを掴んだまま、高々と天井にまで一気に伸び続けた。真下の地上から、困惑仕切ったレトの声が聞こえてきた。
叩き付けられる、と危機感を感じて反射的に身を固めたが、直後、歪んでいた空間がグニャリと形を変えた。
不意に起こった歪みのせいなのか、密室だったこの空間にたった今、天井のとある一部分に外界へと繋がる穴が空いたのだ。
大して大きくも小さくもない不自然な穴に、ローアンの身体は邪魔だと言わんばかりに放り投げられた。
反抗的な風圧が、ローアンを一気に外に押し出し、逆に吹雪を纏う外界が彼女を引きずり出す。
厚い氷の壁を何層も越え、極寒の城の外に放り出された途端………穴は、一瞬で塞がってしまった。


