氷のオブジェと化した城は一見侵入など不可能に思えるが、白の魔術を扱えるローアンにとってはさして難行な事ではなかった。
地中の奥深くに眠っていた木々を魔術で呼び覚まし、幾重にも絡み付く太い根や枝で強引に厚い氷の壁の一部分を突き破ったのだ。
樹木の生命力…特にその成長に伴う浸蝕は凄まじい。木々が冷たい壁を突き破った跡は、人一人通れるくらいの道が出来上がっていた。
少し前から激しくなっていた地震の元凶に関してはイブ達に任せ、単身で城内に潜入したローアン。
城内の空間は、何が起きていたのか知らないが…何故か酷く複雑に歪んでいた。捻れた空間故に、城内の何処に出るのか全く見当も付かないままに辿り着いたのが、この大広間だった。
普段半開きの目をこれでもかというくらい大きく見開いて、呆然とこちらを見てくるレトの眼差しを尻目に、ローアンは頭上をゆっくりと浮遊するノアを見上げた。
色素の異なる互いの視線が、交じり合う。
「………お前がこの城の守人である、魔の者のノアとやらだな?…以前、バリアンでも魔の者を目にしたが…やはり、変わった容姿をしているな……しかし、口を利く魔の者は初めてだ」
魔の者は、主以外とは決して話さないとされている。だが、このノアだけは例外なのだ。
興味深げに見詰めるローアンに対し、ノアは相手が高貴なる王であるにも関わらず、あからさまに顔をしかめて見せた。
「……確かに私は魔の者です、が……喋りもしない、笑おうともしない、心の狭い根暗の同族達と一緒にしないで頂きたいですね。…特に、あのバリアンとかいう悪趣味な某国と私の美しさを比べないで下さい」
…などと、不愉快そうな表情でノアは愚痴を淡々と述べた。
見下しながらの無礼にも程があるその態度にローアンはただ苦笑し、「ついでに面白い」とだけ呟いた。
…しかし、その表情も直ぐに凛とした鋭い眼光を備えてレトに向き直る。横目の視線を送られたレトは、ビクリと肩を震わせた。
「………何故新しい王が即位しないのかと疑問だったが……盗み聞きをしていた訳ではないが……お前達の話からようやく現状を理解したつもりだ。………………神は、気まぐれだな」
地中の奥深くに眠っていた木々を魔術で呼び覚まし、幾重にも絡み付く太い根や枝で強引に厚い氷の壁の一部分を突き破ったのだ。
樹木の生命力…特にその成長に伴う浸蝕は凄まじい。木々が冷たい壁を突き破った跡は、人一人通れるくらいの道が出来上がっていた。
少し前から激しくなっていた地震の元凶に関してはイブ達に任せ、単身で城内に潜入したローアン。
城内の空間は、何が起きていたのか知らないが…何故か酷く複雑に歪んでいた。捻れた空間故に、城内の何処に出るのか全く見当も付かないままに辿り着いたのが、この大広間だった。
普段半開きの目をこれでもかというくらい大きく見開いて、呆然とこちらを見てくるレトの眼差しを尻目に、ローアンは頭上をゆっくりと浮遊するノアを見上げた。
色素の異なる互いの視線が、交じり合う。
「………お前がこの城の守人である、魔の者のノアとやらだな?…以前、バリアンでも魔の者を目にしたが…やはり、変わった容姿をしているな……しかし、口を利く魔の者は初めてだ」
魔の者は、主以外とは決して話さないとされている。だが、このノアだけは例外なのだ。
興味深げに見詰めるローアンに対し、ノアは相手が高貴なる王であるにも関わらず、あからさまに顔をしかめて見せた。
「……確かに私は魔の者です、が……喋りもしない、笑おうともしない、心の狭い根暗の同族達と一緒にしないで頂きたいですね。…特に、あのバリアンとかいう悪趣味な某国と私の美しさを比べないで下さい」
…などと、不愉快そうな表情でノアは愚痴を淡々と述べた。
見下しながらの無礼にも程があるその態度にローアンはただ苦笑し、「ついでに面白い」とだけ呟いた。
…しかし、その表情も直ぐに凛とした鋭い眼光を備えてレトに向き直る。横目の視線を送られたレトは、ビクリと肩を震わせた。
「………何故新しい王が即位しないのかと疑問だったが……盗み聞きをしていた訳ではないが……お前達の話からようやく現状を理解したつもりだ。………………神は、気まぐれだな」


