「目立たぬ様にせねばならない。………トゥラと………ジンを護衛につける。アレクセイ、ジンを呼んで来い。地下で訓練をしている筈だ」
……ジン、と聞き………アレクセイは、固まった。
「………あの………………ジンを連れて行かれるのですか………?………あれは……その……色々と問題が…」
「あれ一人で護衛は充分な程だろ。いいから連れて来い」
次第に小さくなっていく女王とダリルの背中を眺めながら、アレクセイはダラダラと冷や汗をかく。
伸ばそうにも伸ばせない骨張った腕を上げたり下げたり。
「………ロ……ローアンさ…」
「アレクセイ」
後ろ姿が見えなくなるのと同時に、主の名を呼ぼうとした途端……。
………下方から、幼い声が自分を呼んだ。
見下ろすと、いつの間にかルアから離れ、足元に立っているルウナ。
………何だか、無邪気さの欠片も無い、らしくない真剣な顔でこちらを見上げる少年。
さっきまでの天真爛漫な態度とは打って変わったその豹変さに、一瞬ビクリとしたが……………。
………鋭さを秘めたオッドアイは、すぐににっこりと可愛らしく微笑んだ。
「……母上に何言っても聞かないよ―、アレアレ」
「………」
アレクセイは力無く、肩を落とした。


