傷一つ無いノアを忌ま忌ましそうに睨み付けるユノの周りに、夥しい量の魔力が風となり、霧状となって溢れ始める。
一体、この小さな身体の何処に、強大な魔力を宿しているのかと思う程、それは大きい。
赤い両方の瞳が、更に赤みを増していく。
「………………なんでだよ…なんで僕じゃないの…僕じゃ駄目なのか?…僕は……僕は、王になるために生まれてきたのに………………こんなの、認めない。………絶対に認めない…絶対……。………………え……?」
…ふと、何かに呼ばれたかの様に、ユノは玉座に振り返った。
顔を向けた先にあるのは、すっかり凍り付いた玉座だけ。
ユノを呼ぶものなど何一つ無い。それ以外に目を引くものなど何も無いのだが。
しかしユノの目は、他者には見えない何かを捉えたらしい。
目を大きく見開き、呆然とした表情のまま……一歩、後退した。
「………ユノ?」
次第に怯えた表情へと変わっていく息子の様子を怪訝し、サリッサが恐る恐る声をかけたが…。
「………何?」
…と呟いた瞬間、ユノは両手で両耳を塞いだ。
二歩、三歩と徐々に下がるユノの耳には、母の呼び声は聞こえない。
外界の音色は何一つ、聞こえない。
聞こえるのは、玉座の前に立つ人影の、囁きだけ。
人影は、静かにそこに立っていた。
いつの間にか、立っていた。
自分を、呼んでいた。
背が高い。
大人だ。
ぼんやりと見える影の顔は分からないが、黄金色の明るい髪色だけは鮮明だった。
やけに色白の…血の気が無いと言ってもいい影の手がゆっくりと上がり、ユノを指差す。
影が一言囁く度に、影は、頭から血塗れになっていく。
幻にしては、生々しく妙にリアルで。
一向にその姿と囁き声は消える気配が無くて。
「………違う………僕の、せいじゃない…………僕が悪いんじゃない…!違う………違う………!」
「…ユノ!?……何を見ているの!?…ユノ!!」
「違う!!………………全部レトのせいだ」
一体、この小さな身体の何処に、強大な魔力を宿しているのかと思う程、それは大きい。
赤い両方の瞳が、更に赤みを増していく。
「………………なんでだよ…なんで僕じゃないの…僕じゃ駄目なのか?…僕は……僕は、王になるために生まれてきたのに………………こんなの、認めない。………絶対に認めない…絶対……。………………え……?」
…ふと、何かに呼ばれたかの様に、ユノは玉座に振り返った。
顔を向けた先にあるのは、すっかり凍り付いた玉座だけ。
ユノを呼ぶものなど何一つ無い。それ以外に目を引くものなど何も無いのだが。
しかしユノの目は、他者には見えない何かを捉えたらしい。
目を大きく見開き、呆然とした表情のまま……一歩、後退した。
「………ユノ?」
次第に怯えた表情へと変わっていく息子の様子を怪訝し、サリッサが恐る恐る声をかけたが…。
「………何?」
…と呟いた瞬間、ユノは両手で両耳を塞いだ。
二歩、三歩と徐々に下がるユノの耳には、母の呼び声は聞こえない。
外界の音色は何一つ、聞こえない。
聞こえるのは、玉座の前に立つ人影の、囁きだけ。
人影は、静かにそこに立っていた。
いつの間にか、立っていた。
自分を、呼んでいた。
背が高い。
大人だ。
ぼんやりと見える影の顔は分からないが、黄金色の明るい髪色だけは鮮明だった。
やけに色白の…血の気が無いと言ってもいい影の手がゆっくりと上がり、ユノを指差す。
影が一言囁く度に、影は、頭から血塗れになっていく。
幻にしては、生々しく妙にリアルで。
一向にその姿と囁き声は消える気配が無くて。
「………違う………僕の、せいじゃない…………僕が悪いんじゃない…!違う………違う………!」
「…ユノ!?……何を見ているの!?…ユノ!!」
「違う!!………………全部レトのせいだ」


