亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



ローアンは抱えていたルウナをそっと下ろし、バリアンからの書状を持ち直すと、急に真剣な面持ちとなった。


「………ルウナ、母は少し大事な仕事が出来てしまった。……遊んでやれなくてすまないな」


一国の頂点に立つ女王には、暇など無い。

特に今は多忙だ。

息子に全く構ってやれないことに、母親としては酷く情けない気持ちになるが………当のルウナは気にしていない様だ。

「はーい!!母上、頑張って下さ―い!僕はルアと遊ぶから!!」

……傍らで、ビクリと震えたルア。

聖獣ネオマニーである気品あるルアも、ルウナ相手には、げんなりとしている。


ローアンはそれを知ってか知らずか、完全放置だ。

「母上―、トゥラは何処ですきゃ―?」

「トゥラなら“闇溶け”で私の影の中にいる。…出て来たくないようだな」


苦笑するローアン。その彼女の影を、ルアは恨めしそうにジッと凝視する。





―――………ルウナ様がお呼びよ、貴方……出て来なさいよ。


―――嫌だ。子供のお守りは御免被る。


―――………薄情者!!








二匹の間でそんな会話があったり無かったり。



















「………さて、忙しくなるな。………書状は謁見の間で読む。………どうせ、許可する、という様な内容だろうがな」

ふん、と鼻で笑い、筒状の書状を階段の手摺にバシバシと軽く叩き付けた。




「………ところで…ダリル。………例の件はどうなった?」

鋭い眼光をちらりとダリルに向けると、相変わらずの無表情で彼は頷いた。

「―――…言われた通り、やっておきました」

「………あの………………何のお話で…」





一人、理解できてないアレクセイ。